ハンドウイルカは水族館のイルカショーでおなじみの灰色のイルカで、現在は「バンドウイルカ」という呼び名のほうが広く使われています。極地を除く世界中の暖かい海と温帯の海にすみ、日本の近海にもいます。「ハンドウ」は九州北部の呼び名に由来するとされますが、語源ははっきりしていません。
姿・形
- 姿
- 背は濃い灰色で、腹は淡い色です。成体は体長2〜4m、体重135〜635kgほどで、雄のほうが重くなります。吻(くちばし)は短く太く、背びれは後ろに曲がった鎌形です。
間違えやすい生き物
ミナミハンドウイルカTursiops aduncus
ミナミハンドウイルカのほうが小さく細身で、吻が長めです。成体のミナミハンドウイルカは腹や体の横に黒い斑点が出ることが多いですが、ハンドウイルカにはほとんどありません。
間違えやすい理由姿がよく似ていて、かつては同じ種とされていました。御蔵島や小笠原で観察されるイルカはミナミハンドウイルカです。
すむ場所
- よく見られる場所
- 沿岸・湾
- 河口
- 沖合
- 分布
- 北極・南極の海を除く、世界中の熱帯から温帯の海に分布します。日本の近海にもすみ、和歌山県太地町の追い込み漁でも捕獲されています。
- 好む環境
- 港や湾、河口など陸に近い海にすむ群れと、沖合にすむ群れがあります。暖かく浅い海の群れは、冷たい沖合の群れより体が小さい傾向があります。
暮らし
- 食べ物
- 主に小魚を食べ、イカなどの頭足類やカニなどの甲殻類も食べます。尾びれで魚をたたいて気絶させてから食べることもあります。
- 群れの暮らし
- ふつう十数頭で群れをつくりますが、2頭だけのことも100頭を超えることもあります。
- 感覚
- クリック音を出して反響を聞き取るで獲物や周りの様子を知ります。1頭ずつ決まった鳴き方(シグネチャーホイッスル)を持ち、互いを識別しています。
繁殖と一生
- 妊娠期間
- 約12か月です。
- 一度に産む子の数
- ふつう1頭を産みます。
- 成熟まで
- 群れによって差がありますが、おおむね5〜15歳ごろに繁殖を始め、雌のほうが早い傾向があります。子は最長6年ほど母親と一緒に過ごします。
- 寿命
- 野生では40〜60年ほど生き、雌のほうが長生きする傾向があります。
名前と分類
- 名前について
- 標準和名はハンドウイルカですが、論文や新聞では「バンドウイルカ」が多く使われます。江戸時代の『鯨記』には「坂東いるか」の表記もあります。かつてはミナミハンドウイルカもこの種に含めていましたが、現在は別種とされています。黒海の群れ(T. t. ponticus)と南アメリカ南東部沿岸の群れ(T. t. gephyreus)は亜種として分けられています。
保全状況
- IUCNレッドリスト
- LC低懸念絶滅のおそれは低いです
- 脅威
- 漁網による、海の汚染、有害な赤潮、船の騒音や衝突などが脅威になっています。
文化と話題
- 文化と話題
- 和名は、九州北部で「ハンド」「ハンドウ」と呼ばれていたものを、畔田翠山の『水族志』(1827年)をもとに小川鼎三が名付けたとされます。「半道」に由来するという説などがありますが、はっきりしません。
- 和歌山県太地町の追い込み漁では食用や水族館向けに捕獲されています。厚生労働省は水銀をふくむため、妊婦が食べる量に注意すべき魚介類に挙げています。
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