クサフグは、北海道から南西諸島まで日本のほぼ全国の浅い海辺で見られる小さなフグです。初夏の新月や満月の大潮の日には大群で波打ち際へ集まり、海岸が白く濁るほど一斉に産卵します。釣り人にはエサを取る外道としてもおなじみで、体は小さくても強い毒を持っています。

姿・形

姿
全長15cmほどの小型のフグです。背中は暗緑色の地に小さな白い点が散らばり、腹は白く、胸びれの近くに大きな黒い紋があります。背びれは先が黄色く根もとが黒く、背面と腹面には小さなとげが密に生えています。

間違えやすい生き物

コモンフグTakifugu flavipterus

コモンフグは体がやや茶色みを帯び、全長25cmほどとクサフグより大きくなります。目の下に白い斑点があるのが特徴とされます。クサフグは胸びれの近くに大きな黒い紋があるのが目印です。写真だけでは見分けにくいこともあります。

間違えやすい理由どちらも暗い背中に小さな白い点があるフグです。

ヒガンフグTakifugu pardalis

ヒガンフグは褐色の地に黒い斑点が散らばり、体にとげがなく小さないぼ状の突起があります。全長35cmほどになる中型種です。

間違えやすい理由同じように岸近くで釣れる白い腹のフグです。

すむ場所

よく見られる場所
  • 浅い岩礁・砂地
  • 汽水域
  • 砂浜・礫浜
  • 港・堤防
分布
日本では北海道から南西諸島までほぼ全国に分布します。国外では黄海から台湾にかけての中国・朝鮮半島沿岸などにすみます。
好む環境
浅い海に多く、淡水にも強いためでよく見られます。川の中流までさかのぼることもあり、アユの友釣りに掛かることがあります。
時期

日本の場合

繁殖 5〜8月

暮らし

食べ物
ゴカイ類や小さな甲殻類などを食べます。
活動
驚くと体をふくらませます。夜は砂に潜って休みます。

繁殖と一生

繁殖期
5~8月
増え方
新月と満月の大潮の日に大群が岸に集まり、メスの産卵に合わせてオスが一斉に放精します。産卵の前には数匹が偵察に来ることがあり、産卵は1時間ほど続きます。
抱卵
卵は直径1mmに満たず、干潮時の乾燥に耐える丈夫な殻を持ちます。水温によって変わりますが、8~9日ほどでふ化します。ハゼなどに食べられることも多いです。

注意すること

注意すること
体内の臓器と皮にを持ち、肝臓による中毒例もあります。食用にしてよいのは筋肉だけとされ、調理は資格のある専門家に限られます。

名前と分類

名前について
長く Takifugu niphobles の学名で呼ばれてきましたが、2017年の研究で、1845年に先に発表された Takifugu alboplumbeus と同じ種であることがわかり、古いほうの学名が使われるようになりました。

保全状況

IUCNレッドリスト
LC低懸念絶滅のおそれは低いです
現状
環境省レッドリストでは「沖縄島のクサフグ」が絶滅のおそれのある地域個体群に選ばれ、沖縄県では絶滅危惧I類とされています。

文化と話題

文化と話題
  • 名前は背中の色に由来するといわれます。
  • 瀬戸内海沿岸では食材として親しまれ、岡山県には内臓と皮を除いた身を干物にする習慣がありました。
  • 産卵が新月・満月に集中するため、月のリズムと体内時計の研究にも使われています。

ほかの生き物も見てみる

出会った生き物を記録して、集めていこう

写真を残すと日付や場所と一緒に整理され、地域のアルバムを一種ずつ埋めていけます。

クサフグ(Takifugu alboplumbeus)— 見分け方・生息地・似た種 | Moeyo