イボニシは、日本の磯で最もよく見かける巻貝のひとつです。殻に並ぶいぼ(疣)が名前の由来で、「ニシ」は身が辛い貝という意味の「辛螺」です。フジツボやカキを襲う肉食の貝で、船底塗料による汚染で雌に雄の器官ができるが見つかったことでも知られています。
姿・形
- 姿
- 殻高2〜4cmほどの短い紡錘形で、低いいぼが列になって並びます。地は灰白色〜淡褐色ですが、いぼのまわりが黒っぽいため全体に黒く見える個体が多いです。殻口の内側は黒く、縁に黄白色の斑があります。
間違えやすい生き物
レイシガイReishia luteostoma
レイシガイはイボニシより大きく、殻高4cmほどになり、いぼも大きく目立ちます。殻口がイボニシのように黒くなく、黄色っぽいことも見分けるポイントです。
間違えやすい理由同じ属の近縁種で、同じように岩の磯に多くすみます。
すむ場所
- よく見られる場所
- 岩礁の潮間帯
- 防波堤・護岸
- 転石帯
- カキ礁
- 分布
- 北海道南部から九州・沖縄までの日本各地に分布し、国外では朝鮮半島、中国沿岸、ロシア沿海地方からマレー半島付近まで見られます。
- 好む環境
- おもにの岩場にすみ、河口や干潟でも石やカキ殻の上に見られます。泥や砂だけの干潟にはほとんどいません。
暮らし
- 食べ物
- フジツボやカキ、カサガイなど岩に付く貝類を食べます。酸とで殻に穴をあけるほか、殻の縁を欠いて毒を注ぎ込む方法もよく使い、カキ養殖では害になります。
繁殖と一生
- 繁殖期
- 初夏から盛夏にかけての約3か月が産卵期です。潮間帯の岩の張り出した下面に数百〜数千個体が集まって卵を産みます。
- 卵の数
- 短い柄のある細長い1個に、約130個の卵が入っています。卵のうは発生が進むと黄色っぽい色から灰褐色に変わります。
名前と分類
- 名前について
- レイシガイは長く Reishia bronni の名で知られてきましたが、最近の分類では Reishia luteostoma と同じ種として扱われます。
保全状況
- IUCNレッドリスト
- NE未評価まだ評価されていません
- 脅威
- 20世紀後半、船底塗料などの有機スズ化合物によってインポセックスが起き、各地で数が大きく減りました。塗料の規制後、地域によっては回復しています。
文化と話題
- 文化と話題
- 鰓下腺から出る液は日光に当たると紫色に変わり、志摩の海女が布に文字やまじないの印を書くのに使ったと伝えられています。今は貝紫染めの体験などで使われます。
- ほろ苦い独特の味があり、塩ゆでや煮付け、味噌汁にするほか、殻ごとつぶして「ニシ汁」にする地域もあります。広く出回ることは少なく、おもに地元で食べられています。
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